いま、何か一曲かけてやるよと言われれば、
迷わず『スローなブギにしてくれ』と答えるだろう。
声がふるえなければいいが、と思いながら。
No.10
2010/08/18 (Wed) 21:35:57
8月16日。本格的にタイにやって来て、ちょうど一ヶ月になる。
7時半に起床し、ボサノバを聞きながらコーヒーを入れた。今日も苦いなぁ。
朝食の調達のため近所の屋台へ。唐辛子とハーブで味をつけた鶏そぼろとご飯を買い、アパートまで戻った。ポストに何か入っているのを見つけたので取り出してみたが、それはすべてがタイ語で書かれたもの。完全にお手上げだ。何となく察するにその知らせは郵便局から届いたものらしい。先日実家からスーツやシャツを送ってもらったので、それに対しての何かだろうか。で、またまた察するに『1,173バーツ払え』的な感じである。高ぇなぁ。税金か? 何だかよくわからないので不動産屋さんに聞くことにした。
バンコクの日本人相手の不動産屋さんは『駆け込み寺』でもある。不動産仲介などの業務を超越し、生活上のあらゆる悩みや相談にのってくれる。これは本当に助かる。
ちょうど来月分の家賃の支払いもあるので、不動産屋に行くことにした。
不動産屋のN社長にその郵便物を見せると、案の定、僕の荷物は課税対象であり1,173バーツを持って郵便局まで取りに来い、という内容らしい。N社長の話しでは日本の郵便局からEMSで送ると税金を取られるのだとか。クロネコヤマトやDHLなどの民間企業を利用すれば税金の搾取はないらしい。日本の郵便局からの荷物は当然タイの郵便局を通る。役所はここぞとばかりに課税するという。知らなかった。こういう失敗をしながら覚えていくんだよ、とN社長。
しかし!どうも納得いかないのは、こちらが取りに行かなければならないことだ。荷物には僕の家の住所がきちんと書かれてあり、さらに日本のオフクロによって高い国際郵便代は支払い済み。なのに、なぜ僕の手元まで届かないのだろう。しかも荷物は近所の支局ではなく本局にあるという。場所を聞くといささか遠い。そこまで取りに来いとは、ちょっと失礼じゃないか?
だが‥‥そんなことを言ってみてもここは日本じゃない。通用しないんだよな、そういうクレームが。
その郵便局の正確な場所すらわからない僕に、N社長は自社のメッセンジャーを付けてくれた。いわゆるバイク便だ。ライダーのタイ人男性に指示を与えてくれたので、僕はバイクの後ろに乗ってるだけでOKだという。ありがたいハナシだ。帰りは荷物を持ってタクシーで帰る段取りとなった。
僕は深々と感謝のお辞儀をし、N社長と別れた。しかし、実は本音を言うと非常に気がすすまなかったのだ。
タイではモーターサイというバイクタクシーがある。以前、一度乗ったことがあるが、とてもじゃないが二度と乗りたいとは思わない。もう命がけだった。運転は荒く、行き交う車と車の間を平気で抜けていく。そもそも交通ルール自体がゆるい街の中を、それこそ自分の勝手な判断のみで走り進む。さらにライダーはヘルメットを被っているがこちらは無し。仮にひっくり返ったら、死ぬのは完全にこっちだろう。「あんな奴らに命は預けられないよ」周囲の人たちが言っていた言葉の意味が、その時、心から理解できたのだ。
自社のバイク便ということで、さすがに僕用のヘルメットは用意されていた。言葉が通じないのでタイ人ライダーと笑顔でアイコンタクトを交わし、バッグを抱えながら彼の後ろに乗った。さっそく発進。
最初はまぁ普通だったのだが、徐々にあのバイクタクシーの恐怖が蘇ってきた。このライダー、やっぱり運転は荒い。悪気はないのだろうが徹底的に怖い。車の車体スレスレで走り、その間をヒラリヒラリすり抜け、縁石には平気で乗り上げ、デコボコの歩道を疾走し‥‥。さっき出会ったばかりのタイ人に命をまるごと預けているこの感覚。いや~怖いぞぉ。
どでかいタンクローリーと、これまた大きなダンプカーが対向車線で行き交うど真ん中に猛スピードで入っていった時には「あ、オレ死ぬ」と本気で覚悟した。
何とか無事に郵便局に到着し、恐怖のタンデムが終わった。生きててよかった。
タイ人ライダーと別れて局の中へ。送られてきた紙を係員に見せ、どうすればいいのかをジェスチャーで問う。奥の部屋に通された。まるで取り調べ室のようなたたずまいの部屋でパスポートをチェックされ、書類にサイン。請求書のようなものを渡されたが、見ると金額が1.193バーツになっていた。20バーツ増えている。しっかり手数料を取ろうというのだ。おいおい、手数料ほしいのはコッチだぞ。と思いつつも、きちんと支払ってしまうのが外国人の弱いとこだ。
やっと僕宛ての段ボール箱をピックアップし、タクシーで帰宅した。またもや馬鹿馬鹿しい出費だ。
夜はS社長からいただいた宿題を進めた。
建築デザイナーOさんからのアドバイスのおかげもあり、作業は思ったよりもスムーズに進行した。あとはどうプレゼンするか、だな。
ソーセージをレンジで温め、魚のトマト煮の缶詰を開け、LEOビールを一本。やがてウイスキー。
今夜も窓からの重い湿度が部屋の空気を抱き込んでいく。
CDプレイヤーからは、けだるいボサノバ。
ボサノバで始まり、ボサノバで終わる一日。
7時半に起床し、ボサノバを聞きながらコーヒーを入れた。今日も苦いなぁ。
朝食の調達のため近所の屋台へ。唐辛子とハーブで味をつけた鶏そぼろとご飯を買い、アパートまで戻った。ポストに何か入っているのを見つけたので取り出してみたが、それはすべてがタイ語で書かれたもの。完全にお手上げだ。何となく察するにその知らせは郵便局から届いたものらしい。先日実家からスーツやシャツを送ってもらったので、それに対しての何かだろうか。で、またまた察するに『1,173バーツ払え』的な感じである。高ぇなぁ。税金か? 何だかよくわからないので不動産屋さんに聞くことにした。
バンコクの日本人相手の不動産屋さんは『駆け込み寺』でもある。不動産仲介などの業務を超越し、生活上のあらゆる悩みや相談にのってくれる。これは本当に助かる。
ちょうど来月分の家賃の支払いもあるので、不動産屋に行くことにした。
不動産屋のN社長にその郵便物を見せると、案の定、僕の荷物は課税対象であり1,173バーツを持って郵便局まで取りに来い、という内容らしい。N社長の話しでは日本の郵便局からEMSで送ると税金を取られるのだとか。クロネコヤマトやDHLなどの民間企業を利用すれば税金の搾取はないらしい。日本の郵便局からの荷物は当然タイの郵便局を通る。役所はここぞとばかりに課税するという。知らなかった。こういう失敗をしながら覚えていくんだよ、とN社長。
しかし!どうも納得いかないのは、こちらが取りに行かなければならないことだ。荷物には僕の家の住所がきちんと書かれてあり、さらに日本のオフクロによって高い国際郵便代は支払い済み。なのに、なぜ僕の手元まで届かないのだろう。しかも荷物は近所の支局ではなく本局にあるという。場所を聞くといささか遠い。そこまで取りに来いとは、ちょっと失礼じゃないか?
だが‥‥そんなことを言ってみてもここは日本じゃない。通用しないんだよな、そういうクレームが。
その郵便局の正確な場所すらわからない僕に、N社長は自社のメッセンジャーを付けてくれた。いわゆるバイク便だ。ライダーのタイ人男性に指示を与えてくれたので、僕はバイクの後ろに乗ってるだけでOKだという。ありがたいハナシだ。帰りは荷物を持ってタクシーで帰る段取りとなった。
僕は深々と感謝のお辞儀をし、N社長と別れた。しかし、実は本音を言うと非常に気がすすまなかったのだ。
タイではモーターサイというバイクタクシーがある。以前、一度乗ったことがあるが、とてもじゃないが二度と乗りたいとは思わない。もう命がけだった。運転は荒く、行き交う車と車の間を平気で抜けていく。そもそも交通ルール自体がゆるい街の中を、それこそ自分の勝手な判断のみで走り進む。さらにライダーはヘルメットを被っているがこちらは無し。仮にひっくり返ったら、死ぬのは完全にこっちだろう。「あんな奴らに命は預けられないよ」周囲の人たちが言っていた言葉の意味が、その時、心から理解できたのだ。
自社のバイク便ということで、さすがに僕用のヘルメットは用意されていた。言葉が通じないのでタイ人ライダーと笑顔でアイコンタクトを交わし、バッグを抱えながら彼の後ろに乗った。さっそく発進。
最初はまぁ普通だったのだが、徐々にあのバイクタクシーの恐怖が蘇ってきた。このライダー、やっぱり運転は荒い。悪気はないのだろうが徹底的に怖い。車の車体スレスレで走り、その間をヒラリヒラリすり抜け、縁石には平気で乗り上げ、デコボコの歩道を疾走し‥‥。さっき出会ったばかりのタイ人に命をまるごと預けているこの感覚。いや~怖いぞぉ。
どでかいタンクローリーと、これまた大きなダンプカーが対向車線で行き交うど真ん中に猛スピードで入っていった時には「あ、オレ死ぬ」と本気で覚悟した。
何とか無事に郵便局に到着し、恐怖のタンデムが終わった。生きててよかった。
タイ人ライダーと別れて局の中へ。送られてきた紙を係員に見せ、どうすればいいのかをジェスチャーで問う。奥の部屋に通された。まるで取り調べ室のようなたたずまいの部屋でパスポートをチェックされ、書類にサイン。請求書のようなものを渡されたが、見ると金額が1.193バーツになっていた。20バーツ増えている。しっかり手数料を取ろうというのだ。おいおい、手数料ほしいのはコッチだぞ。と思いつつも、きちんと支払ってしまうのが外国人の弱いとこだ。
やっと僕宛ての段ボール箱をピックアップし、タクシーで帰宅した。またもや馬鹿馬鹿しい出費だ。
夜はS社長からいただいた宿題を進めた。
建築デザイナーOさんからのアドバイスのおかげもあり、作業は思ったよりもスムーズに進行した。あとはどうプレゼンするか、だな。
ソーセージをレンジで温め、魚のトマト煮の缶詰を開け、LEOビールを一本。やがてウイスキー。
今夜も窓からの重い湿度が部屋の空気を抱き込んでいく。
CDプレイヤーからは、けだるいボサノバ。
ボサノバで始まり、ボサノバで終わる一日。
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Iwao Matsumoto
性別:
男性
趣味:
創作と観賞 料理 ANNA
自己紹介:
厄年とはいえ、自業自得のミスで会社が倒産。初めて知った世の中の厳しさにもがきながら、新天地をタイ・バンコクに求めた男。日本で失敗した中年男が激動のバンコクでどこまでやれるのか? デザインやら何やらといった得意分野は果たして通用するのか?
決して焦らず、しかし着実なスピードで、一歩一歩進んでいきたいと思う今日この頃。善くも悪くも希代のロマンチスト。
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