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いま、何か一曲かけてやるよと言われれば、 迷わず『スローなブギにしてくれ』と答えるだろう。 声がふるえなければいいが、と思いながら。
No.
2026/06/10 (Wed) 12:58:38

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No.5
2010/08/12 (Thu) 04:06:23

8時に起きた。そしてコーヒー。いつものように、起きがけの鈍い体にカフェインが回っていく。
今日の午前中は4日前に偶然に飲み屋で出会ったS社長に会いに行く約束があった。S社長は高級食材の輸入業を営むバンコクの成功者。コーヒーを飲み干し、シャワーを浴び、すぐに着替えた。


僕はいま、誰にでも話しかけるウザイ奴なのだ。そりゃもう迷惑かえりみず。しかし時々、神は素敵なハプニングをプレゼントしてくれる。
「酔ってなかったらこんな約束してなかったよ」S社長は笑いながらそう言って僕を迎えてくれた。そこはオフィスを兼ねた豪邸だった。
僕は改めてこのような無礼を詫び、さらに改めて僕自身のプロフィールを話させてもらった。静かに聞いていた社長は小さく頷きながら席をはずし、やがて一枚の図面を持ってやって来た。「これ、どう思う?」新規オープン予定の店舗の図面。「キミならどうするか手直ししてくれ」。
僕はあくまでも設計が本業でないことを伝えつつ、イメージレベルでOKならという条件つきで、その宿題をいただいた。さらに社長は同じくバンコクで成功している友人の方をも紹介してくれた。後日その紹介の席に同席までしてくれるという。ありがたい。そして嬉しい。「あいつは儲かってる。広告でもなんでも取っちゃいなよ」そう言って、笑ってくれた。


社長の豪邸を出ると降っていた雨がやんでいた。自宅のあるオンヌットまで戻り、近所の屋台で麺をすすった。
部屋に帰り、もう一度シャワーを浴び、生やしていた顎髭を一年ぶりに剃り落とした。
今日はまな板の上の鯉になる、と決めている。どんなふうにされようと、すべて受け入れるつもりだ。体験取材のカットモデルの件だが。


集合場所に30分前に着いたのだが、すでに編集担当のSさんもそこにいた。サスガだ。少しお茶して時間をつぶした後、タイ人のカメラマンと合流し、いよいよ取材先のカットサロンへ。取材前に髪を作ってしまう段取りとなり、さてどんなヘアスタイルにしましょうか、ということになった。お店の人が攻め甲斐のある僕の長髪を見ながらひとこと「パーマでいきましょう」。
パーマ‥‥‥高校生以来だ‥‥。

カットし、パーマをかけ、約二時間弱で完成した。動きのあるゆるやかなウエーブ、毛先を跳ねさせたシルエット。自分じゃないみたいだ。伸び放題だった髪を、よくここまで作るものだ。さすがにタイ人のタレントも来るというこのお店。技術はなかなかだと思う。まるで福山雅治だ、と言われた。もちろん髪型だけね。


取材と撮影が終了し、トンロー通りの居酒屋でSさんと軽く食事。そして帰路へ。
近所のスーパーで飲料水用の水と明日の朝食のためのパンとソーセージを買い、帰宅。
家に帰ってPCの電源を入れ、メールをチェック。新規の取材の依頼が一本。さらに昨夜一緒に食事をしたあのT氏からデザインの依頼が一本。
良かった。少しずつ、ほんの少しずつだが前に進んでいるような気がする。


人生は何が起こるかわからない。それを痛感したからこそ、僕はタイにいる。
本当に何が起こるかわからないのだ。
何処で誰に出会うかなんて予想できないし、ましてやこの歳になってパーマをかけるなんて予想だにしていなかった。



何が起こるかわからない。ならば、何かを起こしてやることもできるはず。

本日三度めのシャワーを浴びながら、そう思った。
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プロフィール
HN:
Iwao Matsumoto
性別:
男性
趣味:
創作と観賞 料理 ANNA
自己紹介:
厄年とはいえ、自業自得のミスで会社が倒産。初めて知った世の中の厳しさにもがきながら、新天地をタイ・バンコクに求めた男。日本で失敗した中年男が激動のバンコクでどこまでやれるのか? デザインやら何やらといった得意分野は果たして通用するのか?

決して焦らず、しかし着実なスピードで、一歩一歩進んでいきたいと思う今日この頃。善くも悪くも希代のロマンチスト。
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